鏤
鏤
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標準
文例 · 用例
文芸冊子「散文」十月号所載山岸外史の「デカダン論」は細心|鏤刻の文章にして、よきものに触れたき者は、これを読め。
— ――当りまえのことを当りまえに語る。 『もの思う葦』 青空文庫
切支丹屋敷にオオランド鏤版の古い図があるということを奉行たちから聞き、このつぎの訊問のときにはひとつそれをシロオテに見せてやるよう、言いつけて散会した。
— 太宰治 『地球図』 青空文庫
きょうは、だいいちばんに、あのオオランド鏤版の地図を板縁いっぱいにひろげて、かの地方のことを問いただしたのである。
— 太宰治 『地球図』 青空文庫
鏤心の秋、琴も文も同じ事なり、まづしい精進をつづけて行かうと思ひます。
— 太宰治 『文盲自嘲』 青空文庫
」 一場展開した広小路は、二階の燈と、三階の燈と、店の燈と、街路の燈と、蒼に、萌黄に、紅に、寸隙なく鏤められた、綾の幕ぞと見る程に、八重に往来う人影に、たちまち寸々と引分けられ、さらさらと風に連れて、鈴を入れた幾千の輝く鞠となって、八方に投げ交わさるるかと思われる。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
女扇の竹青きに紫の珠を鏤めたらん姿して、日に日に装増る、草菖蒲といふなりとぞ。
— 泉鏡花 『草あやめ』 青空文庫
空は晴れて、霞が渡って、黄金のような半輪の月が、薄りと、淡い紫の羅の樹立の影を、星を鏤めた大松明のごとく、電燈とともに水に投げて、風の余波は敷妙の銀の波。
— 泉鏡花 『妖術』 青空文庫
美しき虹を、そのまま柱にして絵かれたる、十二光仏の微妙なる種々相は、一つ一つ錦の糸に白露を鏤めた如く、玲瓏として珠玉の中にあらわれて、清く明かに、しかも幽なる幻である。
— 泉鏡花 『七宝の柱』 青空文庫