黙語
もくご
名詞
標準
文例 · 用例
不折、黙語、外面諸画伯の挿画や裏絵がまたそれぞれに顕著な個性のある新鮮な活気のあるものであった。
— 寺田寅彦 『明治三十二年頃』 青空文庫
替え立ての畳の上に、丸い紫檀の刳抜盆が一つ出てゐて、中に置いた湯呑には、京都の浅井黙語の模様|画が染め付けてあつた。
— 夏目漱石 『それから』 青空文庫
替え立ての畳の上に、丸い紫檀の刳抜盆が一つ出ていて、中に置いた湯呑には、京都の浅井黙語の模様画が染め付けてあった。
— 夏目漱石 『それから』 青空文庫
たとえ黙語にしても、その一番強い発音が声帯を刺激するとどのように類似した言葉でも、その印象の蔭に、押し隠されてしまうと云うではないか。
— 小栗虫太郎 『白蟻』 青空文庫
草木の花といふ花が、時にふれ、折につけ、私達の心像に残してゆく印象は、それぞれの形と色と光との交錯したものに他ならないが、ひとり木犀はその高い苦味のある匂によつてのみ、私達にその存在を黙語してゐる。
— 薄田泣菫 『木犀の香』 青空文庫
一草亭は露伴、黙語、月郊などにも花を教へた事のある趣味の男で、陶庵侯の邸へもよく花を活けに往くし、漱石氏へも教へに出掛けるしするので、ついこんな事を思ひついて、それを漱石氏に話してみた。
— 大正五(一九一六)年 『茶話』 青空文庫
中沢博士の画10・30(夕) 京都高等工芸の中沢岩太博士が洋画を描くのは、世間によく聞えた事実で、博士自身は、「閑な折、ちよい/\浅井黙語君に見て貰つたといふばかしで、てんでお話にもならんさ。
— 大正五(一九一六)年 『茶話』 青空文庫
私達の魂がひとり空堂に安居して、思惟の三昧に耽るとか、または宇宙の霊や艸木の精と黙語点頭するとかいつたやうな、何かしら秘密なものを羽含まうとする場合には、静寂こそはなくてならない唯一のものなのだ。
— 薄田泣菫 『独楽園』 青空文庫