禅機
ぜんき
名詞
標準
文例 · 用例
禅機を語つて居るやうでもあらう。
— 平出修 『畜生道』 青空文庫
このむさくろしき兵士らは仏光国師の熱喝を喫した訳でもなかろうが驀地に進むと云う禅機において時宗と古今その揆を一にしている。
— 夏目漱石 『趣味の遺伝』 青空文庫
一、馬券は尚|禅機の如し、容易に悟りがたし、ただ大損をせざるを以て、念とすべし。
— 菊池寛 『我が馬券哲学』 青空文庫
呑気なる迷亭君と、禅機ある独仙君とは、どう云う了見か、今日に限って戸棚から古碁盤を引きずり出して、この暑苦しいいたずらを始めたのである。
— 夏目漱石 『吾輩は猫である』 青空文庫
さすがに御両人|御揃いの事だから、最初のうちは各自任意の行動をとって、盤の上を白石と黒石が自由自在に飛び交わしていたが、盤の広さには限りがあって、横竪の目盛りは一手ごとに埋って行くのだから、いかに呑気でも、いかに禅機があっても、苦しくなるのは当り前である。
— 夏目漱石 『吾輩は猫である』 青空文庫
島尾得庵といへば、軍人で出先きを塞がれた腹癒せを禅学にぶち込んだ程あつて、胡椒のやうにひりゝとした禅機の鋭さにかけては、その頃の居士仲間の随一であつたが、ある時その居士の玄関へ立つて、牛のやうな太い声で案内を頼む者があつた。
— 大正七(一九一八)年 『茶話』 青空文庫
このようなことは、禅機に達することだとは思わないが、カルビン派のように、知識で信仰にはいろうとしなければならぬ近代作家の生活においては、孝道氏の考え方は迷いを退けるには何よりの近道ではないかと思う。
— 横光利一 『作家の生活』 青空文庫
こうなると、この手字の手のうちから出る剣だから手裏剣と称するわけで、いかさま剣道の妙諦、ひどく禅機を帯びてむずかしくなるしだいだが、手裏剣すなわち神妙剣、あえて特に、長さ三、四寸の小剣を手のうちに返して投げ打つ術をのみ手裏剣と呼ぶのではない。
— 乾雲坤竜の巻 『丹下左膳』 青空文庫