欹てる
そばだてる
動詞-一段動詞-他動詞
標準
to strain (one's ears, eyes)
文例 · 用例
」と喬は思い、耳を欹てるのであった。
— 梶井基次郎 『ある心の風景』 青空文庫
隣の障子がそつと開いた時いつでも私は目を欹てる。
— 長塚節 『隣室の客』 青空文庫
現在その手で口火をつけて、現在その手で夫の遺骸を燒くその焔の音が、煉瓦に圍まれた不思議な世界の中に、耳を欹てるまでもなくはつきりと聞えてゐました。
— 水野仙子 『響』 青空文庫
でも、黙つて、静かに耳を欹てると、遠くでさら/\と流れて居る尾谷川の渓流の響が、何だか他界から来るある微妙な音楽でも聞くかのやうに、極めて微かに聞えて居る。
— 田山花袋 『重右衛門の最後』 青空文庫
心を落つけ欹てるようにし、何か魂を通りすぎる感じを掴もうとしたが、一向凶徴らしいときめきは生じない。
— 宮本百合子 『私の覚え書』 青空文庫
純一はこの雑音を聞いているうちに、ふと聴衆の動揺を感じて、殆ど無意識に耳を欹てると、丁度拊石がこう云っていた。
— 森鴎外 『青年』 青空文庫
男は聞き耳を欹てると、その声がだんだん戸口の方へ近づいて来た。
— モーリス・ルヴェル Maurice Level 『生さぬ児』 青空文庫
他の人々も、帆村の訊問に興味を持って耳を欹てる。
— 海野十三 『地獄の使者』 青空文庫