真っ黒い
まっくろい
形容詞
標準
pitch black
文例 · 用例
箱根の嶮路にかかって、後部の大きな硝子戸に、機関車がぴったりとくっつき、そのまま轟々と真っ黒い正面をとどろかして押し昇った時にもそれを見たこの子は、それこそひとりで大喜びであった。
— 北原白秋 『木曾川』 青空文庫
その窓からは、あの秋子の蒼白い顔ばかりでなく、父親の吉川機関手が、真っ黒い髯面を覗けていることがあったことを。
— 佐左木俊郎 『汽笛』 青空文庫
溝には、いろいろな物が捨ててあって、真っ黒い泥が澱んでいた。
— 矢田津世子 『※女抄録』 青空文庫
取り分け淋しいのは、お日様がとっぷりと西のお山に沈んでしまって、真っ黒い風が木の葉を鳴かせる暗い夜です。
— 北條民雄 『すみれ』 青空文庫
さらに奥の方へ進んで行くと、真っ黒い大きな貨車みたいなものが二つ並んでいる。
— 佐藤垢石 『鯨を釣る』 青空文庫
六里ヶ原で、めぐり会ったのは、五月上旬の、まだ枯芒のままの枯野の中で、真っ黒い山のおじさんと真正面にぶつかったのである。
— 佐藤垢石 『老狸伝』 青空文庫
引き潮時に、掘割の真っ黒い水の底から、ぶつぶつと沸き立つ、あの溝の臭みが故郷の匂いである。
— 佐藤垢石 『わが童心』 青空文庫
心痛、悲哀の状を真っ黒い背中に現わして、雌の傷口から流れ出した鮮血で真っ赤になった海上を、おろおろと徘徊する。
— 佐藤垢石 『海豚と河豚』 青空文庫