筵包
むしろほう
名詞
標準
文例 · 用例
氷は筵包にして天秤に釣したる、其片端には、手ごろの石を藁縄もて結びかけしが、重きもの荷ひたる、力なき身体のよろめく毎に、石は、ふらゝこの如くはずみて揺れつ。
— 泉鏡花 『紫陽花』 青空文庫
夕陽の落ちたばかりの長良川の磧へ四人|伴の鵜飼が出て来たが、そのうちの二人は二羽ずつの鵜を左右の手端にとまらし、後の二人のうちの一人は艪を肩にして、それに徳利や椀などを入れた魚籃を掛け、一人は莚包を右の小脇に抱え、左の小脇に焼明の束を抱えていた。
— 田中貢太郎 『赤い土の壺』 青空文庫
そして、莚包と焼明を持っているのは、三十前後の背の高い鋭い眼をした男で、艪を持っているのは、五十前後の背のずんぐりした白髪の目だつ男であった。
— 田中貢太郎 『赤い土の壺』 青空文庫
その時|莚包と焼明を持って背の高い男が、鵜を持った角顔の男のほうを見て、「鮎を獲りたいものじゃが」 と云った。
— 田中貢太郎 『赤い土の壺』 青空文庫
莚包と焼明を持った背の高い男も前岸の方へちらと眼をやって、「そうじゃ、鵜さえうまく使えば、鮎は獲れるに定っておる、鵜をうまく使うがかんじんじゃ」 と、これも顔で笑った。
— 田中貢太郎 『赤い土の壺』 青空文庫
莚包と焼明を持った背の高い男は、また鵜を持った角顔の男の方を見て、「寺へ入って和尚のような真似をしておるが、あの痴漢のことじゃ、どんな用心をしておるかも判らん」 と云いかけたところで、艪を持っていた男が遮って、「鮎の用心なら知れたものじゃ、鮎の話は、まあ、舟へ乗ってからにしよう」 と云った。
— 田中貢太郎 『赤い土の壺』 青空文庫
それを聞くと莚包と焼明を持った背の高い男は、首を縮めるようにして口をつぐんでしまった。
— 田中貢太郎 『赤い土の壺』 青空文庫
すると莚包と焼明を持った男が、その手荷物を舟の中へ入れて、「それでは舟を出そう」 と、云って竹藪の竹の根本を縛ってある縄のほうへ往った。
— 田中貢太郎 『赤い土の壺』 青空文庫