秘世
ひせい
名詞
標準
文例 · 用例
近時の心理学が漸くこの辺に着目して、有形世界と神秘世界の関係に想到せし如きは一段の進歩と称すべきではあるが、しかしこれ古より神を信ずる者の実験し来った所に過ぎぬのである。
— 内村鑑三 『ヨブ記講演』 青空文庫
知力ばかりでは達し得られない神秘世界は、藝術上の經驗主義なる自然主義――一段古い語で云へば、寫實主義――の根底に、初めから横たはつて居るのである。
— 岩野泡鳴 『神秘的半獸主義』 青空文庫
同時に鼻は生き物である、神秘世界の産物である、鼻の動的表現は理屈では認められぬ、ただ事実上にのみ存在し得るという事を深く深くうなずかせました。
— 夢野久作 『鼻の表現』 青空文庫
夢の中の謎の国か禁じられた未踏の神秘世界への門のようだ。
— H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft 『狂気の山脈にて』 青空文庫
それをまた意味ありげに解釈して、たわいもない切れ切れの語から、神秘世界の消息をえようとするのが、久しい間のわが民族の慣習であった。
— 柳田国男 『山の人生』 青空文庫
晝その堂内に入れば、採光の程度ほゞ羅馬の「サン、ピエトロ」寺に似て、五色の窓硝子より微かに洩るゝ日光は、一種の深祕世界を幻出し、人をして唯一の神こゝに在すかと觀ぜしむ。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫