胆者
たんしゃ
名詞
標準
文例 · 用例
あれは地主と言って、自分もまた労働しているとしじゅう弁明ばかりしている小胆者だが、おれはあのお姿を見ると、鼻筋づたいに虱が這って歩いているようなもどかしさを覚える。
— 太宰治 『猿ヶ島』 青空文庫
一夕、松川の誕辰なりとて奥座敷に予を招き、杯盤を排し酒肴を薦む、献酬数回予は酒といふ大胆者に、幾分の力を得て積日の屈託|稍散じぬ。
— 泉鏡花 『妖怪年代記』 青空文庫
蝦蟇法師は流眄に懸け、「へ、へ、へ、うむ正に此奴なり、予が顔を傷附けたる、大胆者、讐返ということのあるを知らずして」傲然としてせせら笑う。
— 泉鏡花 『妖僧記』 青空文庫
八 突然、イベットに永訣しなければならなくなった世にも憐れな落胆者小田島は、また同時に世にも羞しい果報者となってホテルへ帰った。
— 岡本かの子 『ドーヴィル物語』 青空文庫
思いのほかの豪胆者とみゆるな」 唯一の証拠にと、携え持ってきたあの千柿鍔の一刀をこわきにしながら、名人はゆうぜんとはいっていくと、「起きろ!
— 千柿の鍔 『右門捕物帖』 青空文庫
おとなしそうな顔をしていながらお筆という女も随分の大胆者であると、むかし気質のお銀は腹立たしくもなった。
— 岡本綺堂 『探偵夜話』 青空文庫
」「それほどの大胆者ではござりませぬ。
— 岡本綺堂 『小坂部姫』 青空文庫
女子供では無し、分別盛りの四十男がそれだけの事で姿を隠そうとも思われないが、案外の小胆者で唯|一途に恐怖を感じたのかも知れない。
— 白蝶怪 『半七捕物帳』 青空文庫