細布
ほそめ
名詞
標準
文例 · 用例
狂言の小舞の謡にも、十六七は棹に掛けた細布、折取りゃいとし、手繰りよりゃいとし…… 肌さえ身さえ、手の縋った、いとしいのを。
— 泉鏡花 『雪柳』 青空文庫
所謂円金百両、鷲羽百尻、七間間中径水豹皮六十余枚、安達絹千疋、希婦細布二千端、糠部駿馬五十疋、白布三千端、信夫毛地摺千端也。
— 喜田貞吉 『奥州における御館藤原氏』 青空文庫
○吾が齢し衰へぬれば白細布の袖の狎れにし君をしぞ念ふ 〔巻十二・二九五二〕 作者不詳 一首の意は、おれも漸く年をとって体も衰えてしまったが、今しげしげと通わなくとも、長年|狎れ親しんだお前のことが思出されてならない、という程の意で、「君」というのを女にして、男の歌として解釈したのであった。
— 斎藤茂吉 『万葉秀歌』 青空文庫
それから、「白細布の袖の」までは「狎れ」に続く序詞であるが、やはり意味の相関聯するものがあり、衣の袖を纏き交した時の情緒がこの序詞にこもっているのである。
— 斎藤茂吉 『万葉秀歌』 青空文庫
右がわの壁に切ってある高窓の戸の隙間から、月の光が青白い細布を曳いたように三条ながれこんでいる。
— 山本周五郎 『泥棒と若殿』 青空文庫
或富める人あり、紫色の衣と細布とを著て、日々奢り樂しめり。
— A. キングスフォード A. Kingsford 『犬酸漿』 青空文庫
奥州産の細布や伊達絹。
— 吉川英治 『源頼朝』 青空文庫
鞠は油の細布を解き放題にころがッて行き、その火焔を踏みつぶそうとすればするほど縦横な火の渦やら火の線を描くばかりなのだった。
— 帝獄帖 『私本太平記』 青空文庫