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鈴生

すずなり
名詞
1
標準
文例 · 用例
しかもその花は、一つのこずえの尖端に、十数個から二十ぐらい、鈴生りに群って、波頭のせり上るように、噴水のたぎるように、おどっているところは、一個|大湊合の自然の花束とも見られよう、その花盛りの中に、どうかすると、北向きに固く結んだつぼみが見える。
小島烏水 不尽の高根 青空文庫
あ、あれは何だ、あの赤い実の鈴生った蔓草は、やどり木は。
北原白秋 フレップ・トリップ 青空文庫
だが、これには理由のある事、清方氏は輝方氏とは同じやうに築地で育つた人で、子供の時分には互に顔は見知らなかつたものの、清方氏の家には葡萄棚があつて、夏になると美しい房が鈴生に生るので、腕白者の輝方氏は近所の鼻つ垂しと一緒に、いつも盗みに出掛けたものだつた。
大正五(一九一六)年 茶話 青空文庫
土人達の習慣によると、ヅリヤンを盗んだ者は重く罰せられるが熟れて自然に落ちたのを拾つた者は、飛んだ幸福者として羨まれるさうで、気の長い土人達は、ヅリヤンの鈴生に生つた木蔭で、朝つぱらから煙管を啣へて一日|凝と待ち通しに待つてゐるさうだ。
大正五(一九一六)年 茶話 青空文庫
私の郷里の屋敷には、家の周囲に十二三本の柿の樹があり、その多くは御所柿なので、私の子供のころには、柿の当り年になると、藍碧に澄みきつた秋末の大空を背景に、火焔の塊のやうな大顆の柿の実が鈴生になつてゐたのをよく覚えてゐる。
薄田泣菫 独楽園 青空文庫
硝子戸越しに外を見ると、どこから飛んで来たものか、そこらの庭樹の枝々に鈴生りにとまつてゐるおびただしい雀たちが、何か不思議な大事件でも見つけたやうに、みんな一様に小首を傾げ、ぴんと尻尾をおつたてて、口々に、ちゆつくらちゆちゆつくらちゆ と、鳴き立ててゐるのだ。
薄田泣菫 独楽園 青空文庫
一気に筥崎駅へ駈け込んだ列車の窓からは、旅客の顔が鈴生りに突き出ていて、そこから飛び降りた二三人の制服制帽が、線路づたいに走って来るのが見える。
夢野久作 空を飛ぶパラソル 青空文庫
その眼は情熱に輝きみちみち、その唇は何とも形容の出来ない恨みに固く鎖されて、その撫で上げた前髪の生え際には汗の玉が鈴生りに並んで光っていた。
夢野久作 鉄鎚 青空文庫