月の物
つきのもの
名詞
標準
文例 · 用例
正月の物日で満員の客に押されて漫才をきゝながら時間を費していたとは、如何にもうなずける事だが、彼の機嫌の良さは些か意外だった。
— 織田作之助 『俗臭』 青空文庫
そして、窓の前を過ぎ去る光の世界が迅速なために、箇々の顔に一|瞥以上を投ずることはできなかったが、それでも、その時の私の特殊な心の状態では、その一瞥の短い間にさえ、しばしば、永い年月の物語を読みとることができるように思われるのであった。
— THE MAN OF THE CROWD 『群集の人』 青空文庫
一年ばかり無くなつてゐた月の物も、昨年からあるにはありだしたが、平生も不順勝で時とすると妊娠でないかと思はれるやうなこともあつた。
— 田中貢太郎 『あかんぼの首』 青空文庫
月の五六日にあるべき筈の月の物がその時も十日ほど延びてゐた。
— 田中貢太郎 『あかんぼの首』 青空文庫
月の物のさいちゅうにゃあ婦女はふっと魔が差すもんだ。
— うし紅珊瑚 『早耳三次捕物聞書』 青空文庫
年の市は所々の宮寺にあったが、愛宕の年の市は芝辺では最も盛んで、藩邸の者もこの市で正月の物を調えたもので、うちの下部もその晩新しい手桶や注連飾などを買って帰った。
— 内藤鳴雪 『鳴雪自叙伝』 青空文庫
五月の物忌みが雨つゝみで、此が天つ罪となるには、すさのをの命が元来、田の神で、其犯された罪を一処にして了うたのだ。
— 折口信夫 『大嘗祭の本義』 青空文庫
八「今日はどんどだね」(一に左義長、門松や書初めや、いろ/\正月の物を燒く儀式)「今年は火の用心の御布令があつて、江戸の町ではどんど燒が御法度ださうですよ」 ガラツ八は忌々しさうでした。
— どんど燒 『錢形平次捕物控』 青空文庫