没義
もぎ
名詞
標準
文例 · 用例
わたくしはそれを控えるためには女乞食から手を没義道に振り離して逃れ去るの一手でした。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
」と感慨交りに厳しくことわられ、取縋ろうすべも無く没義道に振放された。
— 幸田露伴 『雪たたき』 青空文庫
が、こっちの働きは少しも向うへは通じませんで、向うの力ばかりが没義道に強うございました。
— 幸田露伴 『幻談』 青空文庫
……さようなら」「さようなら」 古藤は鸚鵡返しに没義道にこれだけいって、ふいと手欄を離れて、麦稈帽子を目深にかぶりながら、乳母に付き添った。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
没義道に頭を切り取られた高野槇が二本|旧の姿で台所前に立っている、その二本に干し竿を渡して小さな襦袢や、まる洗いにした胴着が暖かい日の光を受けてぶら下がっているのを見ると葉子はもうたまらなくなった。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
「他所他所しいのはあなたじゃありませんか」 そう知らず知らずいってしまって、葉子は没義道に手を引っ込めた。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
貞世をかりにもいじめるとは……まるで天使のような心で自分を信じきり愛し抜いてくれた貞世をかりにも没義道に取り扱ったとは……葉子は自分ながら葉子の心の埒なさ恐ろしさに悔いても悔いても及ばない悔いを感じた。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
葉子はどうかすると、熱に浮かされて見さかいのなくなっている貞世を、継母がまま子をいびり抜くように没義道に取り扱った。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫