舎育
しゃいく
名詞
標準
文例 · 用例
とにかくこの生まれて始めて味わったコーヒーの香味はすっかり田舎育ちの少年の私を心酔させてしまった。
— 寺田寅彦 『コーヒー哲学序説』 青空文庫
いつも鳥のことで賭をしているのだが、五ポンド賭けていい、僕の食べた鳥は、田舎育ちだ。
— THE ADVENTURE OF THE BLUE CARBUNCLE 『蒼炎石』 青空文庫
庸三も田舎育ちだけに、大きい景勝よりも、こうしたひそやかな自然に親しみを感じた。
— 徳田秋声 『仮装人物』 青空文庫
そんな方が田舎育ちの娘などを眼中にお置きになるものですか」 と妻は言った。
— 須磨 『源氏物語』 青空文庫
今のその目篇がちときびしすぎてな、江戸の女共を喰いあきたせいでおじゃるのか、それともまた田舎育ちの土女共が味変り致してよいためでおじゃるのか、どちらがどうやら存ぜぬことじゃが、所労保養のお暇を願ったとやらにて、ぶらりとこの月初めに知行所へお帰り召さったのじゃ。
— 日光に現れた退屈男 『旗本退屈男 第八話』 青空文庫
あんまり心持のいい役ではありませんが、根が田舎育ちでございますから、わたくし共が考えるほどには蛇や蛙を怖がりもいたしません。
— 向島の寮 『半七捕物帳』 青空文庫
了意の『東海道名所記』に「大きなる赤犬かけ出てすきまなく吠えかかる云々、楽阿弥も魂を失うて俄に虎という字を書いて見すれども田舎育ちの犬なりければ読めざりけん、逃ぐる足許へ飛び付く」とある。
— 犬に関する伝説 『十二支考』 青空文庫
田舎育ちの者かかる美女に手を握られた嬉しさ心魂に徹し、屋敷へ帰っても片時も忘れず。
— 鼠に関する民俗と信念 『十二支考』 青空文庫