金釘流
かなくぎりゅう
名詞
標準
scrawl
文例 · 用例
真面目な人が、へんに思いつめた揚句で書くと、あんな工合に書体も奇怪な金釘流になり易いものだし、また文章も、下手くそを極めるもののようである。
— 太宰治 『惜別』 青空文庫
それが皆、長崎から来た女文字の手紙ばかりで、金釘流の年増らしいのは母親の筆跡であろう。
— 夢野久作 『近世快人伝』 青空文庫
妹菊路は彼自身も言葉を添えてたしかにお家流を習わした筈なのに、手紙の文字は似てもつかぬ金釘流の稚筆だったからです。
— 旗本退屈男 『旗本退屈男 第一話』 青空文庫
首をひねっているようじゃが、なんぞいぶかしい事でも書いてあるか」「文字がいかにも奇態な金釘流にござりますゆえ、読み切れないのでござります――いえ、ようよう分りました――ごぜん、せんやは、たいそうもねえ御やっかいをかけまして、ありがとうごぜえやした。
— 続旗本退屈男 『旗本退屈男 第二話』 青空文庫
しかし、中の書状に見える文字は、またすばらしくもまずい金釘流なのでした。
— 千代田城へ乗り込んだ退屈男 『旗本退屈男 第十一話』 青空文庫
わけても京の島原の話が得意で、太夫が立派な硯箱と金紙の短册とを出して、何んぞ書けといふので、大變に弱つたが、仕方なしに、「秋の田のかりほの庵のとまをあらみわが衣手は露に濡れつゝ」と金釘流で書いたが、それは春の眞盛りで、御室の櫻が咲き揃つた頃のことであつた、なぞと言つた。
— 上司小劍 『父の婚禮』 青空文庫
僕はよく見なかったが、司法主任の横からチョット覗いてみると普通の封緘ハガキに下手な金釘流でバラリバラリと書いたものじゃったよ。
— 夢野久作 『二重心臓』 青空文庫
それを下ろして、湯沸しの水を硯にたらして、ちび筆を、うつくしい前歯で噛んだが、ふところ紙に、金釘流ながら、スラスラと書き下ろした文句――お坊さん、左様なら、おまえさんが、島にしんぼうできなかったとおなじこと、あたくしも、あなぐら住居は、いや、いや、いや。
— 三上於菟吉 『雪之丞変化』 青空文庫
作例 · 標準
祖父の書く文字は独特の金釘流で、まるで暗号のように見えた。
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「もっと丁寧に書きなさい」と注意されたが、私の金釘流はなかなか直らない。
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契約書のサインが金釘流すぎて、後で本人確認の電話がかかってきた。
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「あはは、相変わらずの金釘流だね」と、幼馴染にノートを見られて笑われた。
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