振り翳す
ふりかざす
動詞
標準
文例 · 用例
弘一さんの靜な髏を納めた寢棺で、燒場へと行くためにあの鎌倉の家の門を出たのは、氣の短い冬の日が、一秒の猶豫もなしにさつさと暮れていつた頃で、世話人の振り翳す提燈の火影で漸く、人々の顏がそれと分るやうな時でした。
— 水野仙子 『響』 青空文庫
旗といふのは、「穴八幡大明神」と大筆を揮つた一丈もの幟のことで、これを振り翳す幟持の一隊を新たに組織しようといふ議が起つてゐるとのことだつたのです。
— 牧野信一 『早春のひところ』 青空文庫
行き詰まった場合に振り翳すのが、この神聖なる是々非々主義である。
— 国枝史郎 『小酒井不木氏スケッチ』 青空文庫
*195 ニーチェに、「権力への意志」とは所詮賤民ども・プロレタリアートのみの振り翳す汚れた旗幟にすぎない。
— 原口統三 『二十歳のエチュード』 青空文庫
単に演劇的の要素を入れると言ふだけならば、必しも刀を振り翳すものと、此を受けるものとの対立だけにしなくともよい筈である。
— ――第四回郷土舞踊と民謡の会・批判―― 『感謝すべき新東京年中行事』 青空文庫
その限り「ヒューマニズム」を振りかざすことが日本文化の伝統を振り翳すことと原則上反対の態度であることを忘れてはならぬのだ。
— 戸坂潤 『世界の一環としての日本』 青空文庫
併し耕地の換算や国粋建築にとって仇敵のようなメートル法を振り翳す商相のことだから、問題の調子は大分変って来るに違いない。
— 戸坂潤 『社会時評』 青空文庫
」 巡査が松明を振翳す途端に、遠い足下の岩蔭に何かは知らず、金色の光を放つ物が晃乎と見えた。
— 岡本綺堂 『飛騨の怪談』 青空文庫