空談
くうだん
名詞
標準
gossip
文例 · 用例
しかし、それでもいいからと云われるので、ではともかくもなるべくよく読み返してみてからと思っているうちに肝心な職務上の仕事が忙しくて思うように復習も出来ず、結局|瑣末な空談をもって余白を汚すことになったのは申訳のない次第である。
— 寺田寅彦 『徒然草の鑑賞』 青空文庫
これを何と形容したら適当であるか、例えばここに饒舌な空談者と訥弁な思索者とを並べた時に後者から受ける印象が多少これに類しているかもしれない。
— 寺田寅彦 『津田青楓君の画と南画の芸術的価値』 青空文庫
すると家族の一人は次のような類例を持ち出してさらに空談に花を咲かせた。
— 寺田寅彦 『雑記(1)』 青空文庫
これらの報道は多くの人々の好奇心を満足させ、いわゆるゴシップと名づけらるる階級の空談の話柄を供給する事は明らかであるが、そういう便宜や享楽と、この種の記事が一般読者の心に与える悪い影響とを天秤にかけてみた時に、どちらが重いか軽いかという事は少し考えてみればだれにもわかる事ではあるまいか。
— 寺田寅彦 『一つの思考実験』 青空文庫
風呂にはいっては長椅子に寝そべって、うまい物を食っては空談にふけって、そしてうとうとと昼寝をむさぼっていた肉欲的な昔の人の生活を思い浮かべないわけにはゆかなかった。
— 寺田寅彦 『旅日記から(明治四十二年)』 青空文庫
一理渾然というようなことは理学家が好んで言うところで、そこが他の学派から空談として斥けられるところでもあるが、天道や性理に託けて心性的に細かく考察する理学家は、どうも議論がそういう傾向になるのも自然の勢であり、また自らの境地でもある。
— 幸田露伴 『一貫章義(現代訳)』 青空文庫
女の写真屋の話はそれ切で、その後コッチから水を向けても「アレは空談サ」とばかり一笑に附してしまったから今|以て不可解である。
— 内田魯庵 『二葉亭余談』 青空文庫
かつ天下国家の大問題で充満する頭の中には我々閑人のノンキな空談を容れる余地はなかったろうが、応酬に巧みな政客の常で誰にでも共鳴するかのように調子を合わせるから、イイ気になって知己を得たツモリで愚談を聴いてもらおうとすると、忽ち巧みに受流されて「復たおヒマの時に御ユックリ」で撃退されてしまう。
— 内田魯庵 『三十年前の島田沼南』 青空文庫