尻腰
しっこし
名詞
標準
文例 · 用例
その夕陽新聞なるものは、土台骨ばかり大きくて一向に尻腰のない甘茶新聞とは訳が違い、なにしろ命旦夕に迫っているんだから、もう死物狂いだア。
— 久生十蘭 『魔都』 青空文庫
……添役人は十人もくっついているんですが、どれもこれも書役あがりの尻腰なし。
— 氷献上 『顎十郎捕物帳』 青空文庫
『大清』も、あまり馬鹿々々しいので笑い出し、世の中にはずいぶん尻腰のない男もあるもんだ、と言った。
— 永代経 『顎十郎捕物帳』 青空文庫
欧羅巴を放浪し始めてから十五年、軽佻浅膚な社交界を泳ぎまわっているうちに、いつのまにかその習俗に茶毒され、日本から受け継いだ、男としての気概などは跡かたもなくなって、風船玉のような尻腰のない、へなちょこな魂ができあがった。
— 久生十蘭 『墓地展望亭』 青空文庫
タヌにあっては煮られたマカロニのごとく尻腰のないコン吉も、実は、心中無念でたまらない。
— 合乗り乳母車 ――仏蘭西縦断の巻―― 『ノンシャラン道中記』 青空文庫
時々陰に籠って、しっこしの無い、咳の声の聞えるのが、墓の中から、まだ生きていると唸くよう。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
三男 もうせん、ねえちゃんと花のかくしっこしたろう。
— 新美南吉 『病む子の祭』 青空文庫
「どうぞ本当に長く生きて下すって、いつものように私をからかって、一寸怒らしたり、馬に乗って野原に出たり、それから夜はお互いに読んだ小説を話しっこしましょう。
— 牧逸馬 『アリゾナの女虎』 青空文庫