ゆらゆら
ゆらゆら
副詞
標準
文例 · 用例
春は幔幕のかげにゆらゆらとして遠く俥にゆすられながら行つてしまつた。
— 萩原朔太郎 『青猫』 青空文庫
なんといふいたましい風物だらうどこにもくびのながい花が咲いてそれがゆらゆらと動いてゐるのだ考へることもない かうして暮れ方がちかづくのだらう戀や孤獨やの一生からはりあひのない心像も消えてしまつて ほのかに幽靈のやうに見えるばかりだ。
— 萩原朔太郎 『青猫』 青空文庫
野鼠どこに私らの幸福があるのだらう泥土の砂を掘れば掘るほど悲しみはいよいよふかく湧いてくるではないか春は幔幕のかげにゆらゆらとして遠く俥にゆすられながら行つてしまつた。
— 萩原朔太郎 『蝶を夢む』 青空文庫
どこにも首のながい花が咲いてそれがゆらゆらと動いてゐる。
— 萩原朔太郎 『定本青猫』 青空文庫
大風の吹く城の向うで化猫草の穗のゆらゆらとうごいてゐてなにものかかなしい追憶の敵が笑つてゐる。
— 萩原朔太郎 『敵』 青空文庫
からだがその響きにつれてゆらゆら動いて、みうちが骨まで冷たかった。
— 太宰治 『魚服記』 青空文庫
お父さんの居間のラジオの前に坐らされて、そうして、正午、僕は天来の御声に泣いて、涙が頬を洗い流れ、不思議な光がからだに射し込み、まるで違う世界に足を踏みいれたような、或いは何だかゆらゆら大きい船にでも乗せられたような感じで、ふと気がついてみるともう、昔の僕ではなかった。
— 太宰治 『パンドラの匣』 青空文庫
陽は、ゆらゆら地平線に没し、まさに最後の一片の残光も、消えようとした時、メロスは疾風の如く刑場に突入した。
— 太宰治 『走れメロス』 青空文庫