拊
拊
名詞
標準
文例 · 用例
」 と莞爾した、その唇の紅を染めたように、酸漿を指に取って、衣紋を軽く拊ちながら、「憎らしい、お源や…………」 来て御覧、と呼ぼうとして、声が出たのを、圧えて酸漿をまた吸った。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
頼むよ」 渠は気軽に御者の肩を拊きて、「隊長、一晩遊べるぜ」 御者は流眄に紙包みを見遣りて空嘯きぬ。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
白糸は欄干に腰を憩めて、しばらくなすこともあらざりしが、突然声を揚げて、「ええひどい蚊だ」膝のあたりをはたと拊てり。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
そこが浮き世じゃないか」 白糸は軽く小|膝を拊ちて、「黄金の世の中ですか」「地獄の沙汰さえ、なあ」 再び馭者は苦笑いせり。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
その肩を車夫はとんと拊ちて、「とうとう異な寸法になりましたぜ」「いやだよ、欣さん」「いいさ、いいさ!
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
花咲爺の画にあるような、ああ、」 と横を向いて卓子台を幽に拊って、「前刻、西河岸で逢った植木屋……ね、ちょっと肖ていたよ。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
」 茶棚に背後向きになった肩を拊つばかり、ハタとそこへ、縁起棚から輝いて落ちたのは、清葉が、前に翳したままそこにさし置いた舞扇で。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
」 かく言いてその友は投出したる膝を拊てり。
— 泉鏡花 『取舵』 青空文庫