顔馴
かお馴
名詞
標準
文例 · 用例
それでも永い間の顔馴染になってみれば、やはりそれだけの心安さは出来た。
— 寺田寅彦 『雑記(2)』 青空文庫
その五年前、六月六日の夜――名古屋の客は――註しておくが、その晩以来、顔馴染にもなり、音信もするけれども、その姓名だけは……とお町が堅く言わないのだそうであるから、ただ名古屋の客として。
— 泉鏡花 『古狢』 青空文庫
Mの家の当主は、私よりも四つ五つ年上の、にぎやかな人で、昔からちよいちよい金木へも遊びに来て私とは顔馴染である。
— 太宰治 『津軽』 青空文庫
すぐ近くの交番のおまわりで、私とはもちろん顔馴染の仲なのです。
— 太宰治 『男女同権』 青空文庫
おまきの葬式は丁度それと入れ違いに本堂に繰り込むと、前に来ていた見送り人はやはり芝辺の人達が多かったので、あとから来たおまきの見送り人と顔馴染みも少なくなかった。
— 猫騒動 『半七捕物帳』 青空文庫
去年の暮れ、丸多の手代が懸け金の持ち逃げをした時に、手先の亀吉が調べに来て、与兵衛や幸八らとも顔馴染になっているので、幸八がその使を云い付かったのである。
— 正雪の絵馬 『半七捕物帳』 青空文庫
えらいとこで会うたな」 いつか柳吉は蝶子といっしょに河童路地へ来たことがあり、その時の顔馴染みであった。
— 織田作之助 『わが町』 青空文庫
だから、靴磨きの娘を、アパートの入口に待たして置いて、ホールで顔馴染みの坂野をたずねて来たのだった。
— 織田作之助 『土曜夫人』 青空文庫