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薄衣

うすぎぬ
名詞
1
標準
文例 · 用例
……が、底ともなく、中ほどともなく、上面ともなく、一条、流れの薄衣を被いで、ふらふら、ふらふら、……斜に伸びて流るるかと思えば、むっくり真直に頭を立てる、と見ると横になって、すいと通る。
泉鏡花 海の使者 青空文庫
女の像は胴の間へ仰向けに、肩が舷にかゝつて、黒髪は蘆に挟まり、乳の下から裾へ掛けて、薄衣の如く霞が靡けば、風もなしに柔かな葉摺れの音がそよら/\。
泉鏡太郎 神鑿 青空文庫
」と、むら雲一重、薄衣の晴れたように、嬉しそうに打微笑む、月の眉の気高さよ。
泉鏡花 日本橋 青空文庫
……碧とも淺黄とも薄い納戸とも、……」 月が山々に曳いた其の薄衣を仰ぐ時、雲の棧橋に立つ思ひがした。
泉鏡太郎 魔法罎 青空文庫
遥にそのあたりを思うさえ、端麗なるその御姿の、折からの若葉の中に梢を籠めたる、紫の薄衣かけて見えさせたまう。
泉鏡花 一景話題 青空文庫
ただ屹としたる品格ありて眼の光凄まじく、頬の肉落ち頤細りて薄衣の上より肩の骨の、いたいたしげに顕われたるは世に在る人とは思われず。
泉鏡花 活人形 青空文庫
螢一つ、すらりと反對の窓より入りて、細き影を捲くと見る間に、汗埃の中にして、忽ち水に玉敷ける、淺葱、藍、白群の涼しき草の影、床かけてクシヨンに描かれしは、螢の衝と其の裳に忍び褄に入りて、上の薄衣と、長襦袢の間を照して、模樣の花に、葉に、莖に、裏透きてすら/\と移るにこそあれ。
泉鏡太郎 婦人十一題 青空文庫
暑熱や、寒冷や、雨雪や、飮酒や、日光直射や、異常の食物や、甚だしき飢や飽や、浴後の薄衣や、皮膚の不潔や、すべて病因たることは、盡く自己の判斷と、他の批判と、即ち一個的及び相互的の注意によつて、之を避けねばならぬ。
幸田露伴 努力論 青空文庫