飄
ひょう
名詞
標準
文例 · 用例
飄々として唸りながら、無限に高く、穹窿の上で悲しみながら、いつも一つの遠い追憶が漂っている!
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
芭蕉の書体が雄健で闊達であるに反して、蕪村の文字は飄逸で寒そうにかじかんでいる。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
それは丁度、或る年の九月頃であつたが、僕が折あしく外出してゐるところへ、飄然と牧水氏が訪ねて來て、玄關へ取次ぎを乞はれたのである。
— 萩原朔太郎 『追憶』 青空文庫
けれども一方、会衆の前に飄然として出て来て、「君、赤ン坊の脳髄を食つたことがありますか」などといつてゐる。
— 中原中也 『夭折した富永』 青空文庫
帆も楫も無い丸木舟が一|艘するすると岸に近寄り、魚容は吸われるようにそれに乗ると、その舟は、飄然と自行して漢水を下り、長江を溯り、洞庭を横切り、魚容の故郷ちかくの漁村の岸畔に突き当り、魚容が上陸すると無人の小舟は、またするすると自ら引返して行って洞庭の烟波の間に没し去った。
— ――新曲聊斎志異―― 『竹青』 青空文庫
現世とはただわずかな糸でつながって、飄々として風に吹かれているような趣があったかもしれない。
— 寺田寅彦 『小さな出来事』 青空文庫
」 船の港に着きけるまで懇に説聞かして、此殺身爲仁の高僧は、飄然として其名も告げず立去りにけり。
— 泉鏡花 『旅僧』 青空文庫
※戻たる天風はおもむろに馭者の毛布を飄せり。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫