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飲下

いんした
名詞
1
標準
文例 · 用例
神妙にしろッ」 ぎゅっとそのなまめかしくもやわらかい色香盛りのきき腕押えて、ややしばし蔵の中の異様きわまりない光景を見ながめていましたが、いまぞはじめて名人の本来真面目に立ち返ったもののごとく、ずばりと溜飲下しの名|啖呵が飛んでいきました。
へび使い小町 右門捕物帖 青空文庫
じゃ、辰ッ、おまえもひざくりげにたんと湿りをくれておけよ」 こうなると伝六なかなかにうれしいやつで、骨身も惜しまずたちまち揚げ屋の表へ、くるわ駕籠を二丁見つけてまいりましたものでしたから、いよいよ捕物名人の第十五番てがらが、丁子油ならぬ溜飲下げのにおいをそろそろと放ちだしました。
京人形大尽 右門捕物帖 青空文庫
叔母が汲んで出す別離の茶――其色も濃く香も好いのを飲下した時は、どんなにか丑松も暖い血縁のなさけを感じたらう。
島崎藤村 破戒 青空文庫
つまり何だな、某氏は今暁、ベロナールを飲下して自殺をはかつたが、幸少量であつたため苦悶中発見され、手当を受けた、と。
武田麟太郎 日本三文オペラ 青空文庫
私が硫酸を買ひに行つて無駄になつた購入書が火鉢の引出にあることに氣づいた母は、何とかして處分したいと思つたが、刑事が眼前にゐるので如何ともすることが出きず、隙を見て口に入れて飮下しようとしたがうまく行かず、遂に煮たつてゐた鐵びんの中に投じて發見を免れたといふ悲喜劇もありました。
石川三四郎 青空文庫