尽頭
じんあたま
名詞
標準
文例 · 用例
――どうせ隙だからいつまでも待とうと云うのを――そういってね、一旦運転手に分れた――こっちの町|尽頭の、茶店……酒場か。
— 泉鏡花 『燈明之巻』 青空文庫
トタンに件の幽霊は行燈の火を吹消して、暗中を走る跫音、遠く、遠く、遠くなりつつ、長き廊下の尽頭に至りて、そのままハタと留むべきなり。
— 泉鏡花 『化銀杏』 青空文庫
川を隔てゝ霞の蒸したる一ト村の奥に尽頭に咲き誇りたるを見たる、谷に臨みて春風ゆるく駐まるべき崖下などの小家包みて賑はしく咲けるを見たる、いづれをかしき趣あらぬは無し。
— 幸田露伴 『花のいろ/\』 青空文庫
政宗は吾が領の殆んど尽頭の黒川の前野に陣取った。
— 幸田露伴 『蒲生氏郷』 青空文庫
しかし源三は我が秘密はあくまでも秘密として保って、お浪との会話をいい程のところに遮り、余り帰宅が遅くなってはまた叱られるからという口実のもとに、酒店へと急いで酒を買い、なお村の尽頭まで連れ立って来たお浪に別れて我が村へと飛ぶがごとくに走り帰った。
— 幸田露伴 『雁坂越』 青空文庫
書斎かと思って書斎へ行こうとすると、椽側の尽頭の雪江さんの部屋で、雪江さんの声で、「誰?
— 二葉亭四迷 『平凡』 青空文庫
其に一番|尽頭の部屋で階子段にも遠かったから、他の客が通り掛りに横目で部屋の中を睨んで行く憂いはなかった。
— 二葉亭四迷 『平凡』 青空文庫
女中は二階へあがって行くと、足を浮かして尽頭の部屋の前まで行って、立ち停ると、袂で顔を抑えてくすくす笑っていた。
— 徳田秋声 『足迹』 青空文庫