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悧溌

悧溌
名詞
1
標準
文例 · 用例
それから、その小さな下唇を、いく度もいく度も吸い込んだり出したりしているうちに、不意に、ハッキリした言葉つきで、飛んでもないマセた事を云い出したりするのであったが、それが又チエ子を、たまらない程イジラシイ悧溌な児に見せたので、両親は大自慢で可愛がるのであった。
夢野久作 人の顔 青空文庫
「藪の鶯」の女主人公である悧溌な浪子が、そういう歴史の脈動を評価する力を、反動期に入ったその新時代的教養からちっとも与えられていないで、至極皮相に「明治五六年頃には女の風俗が大そうわるくなって」と周囲から注ぎこまれ、おそわったとおりに片づけているところは強い関心をそそられる。
宮本百合子 婦人と文学 青空文庫
世間の口さがない批評を蒙る現実の対象が抹殺されてから、却って自分ひとりの心の動きに安心して、勝気で悧溌な一葉が綿々とつきぬ思いを対象のそとへまでも溢れさせて、恋の歌や日記の述懐に表現し、情感に身をうちかけているところも、あわれである。
宮本百合子 婦人と文学 青空文庫
この少年は色の白い美しい悧溌な子で私を信じてすがります。
倉田百三 青春の息の痕 青空文庫
ところが、リアリスティックな日本の女を描くと、終始一貫心|驕れる悧溌な女(「虞美人草」藤尾、「明暗」おとしその他)と、自然に、兄や親のいうがままの人生を人生と眺めている娘とを対比させて、その対比でいつも後者をより高く買っている。
一九三八年(昭和十三年) 獄中への手紙 青空文庫
どことかで近江商人に会って話したら近江辺ではこの子は悧溌だから商人にしよう、大して出来んから学校へやろうと云うそうなが、こっちは逆だと話していられました。
一九三八年(昭和十三年) 獄中への手紙 青空文庫
)それどころか悧溌そうなふっくりと初々しい可愛いはっきりした娘さんです。
一九四〇年(昭和十五年) 獄中への手紙 青空文庫
痩型で、折襟のカラーをつけて、こがたい官僚風な大臣であるその政治家の顔を思い出すと、伸子は、おばさまである夫人の敏捷で悧溌な凹み眼と、うすく水白粉のはかれている顔や沈んだ色の紅をさした唇で、軽く、やや口早にげびない蓮葉さでものを云うときの表情を思いおこした。
宮本百合子 二つの庭 青空文庫