鬱する
うっする
動詞
標準
文例 · 用例
――先刻、白尾と別れてからは、何となく、気屈し、心が鬱するので、ひとりもとの幹事室へ帰って、出来得るなら少時身体を横にもと思ったが、ここも人数で、そうも成らない。
— 泉鏡花 『露萩』 青空文庫
慍は憤ほど激しくは無いが、やはり同様に心中が穏やかでなくて、ムカムカモヤモヤと不快に情が鬱することが慍である。
— 幸田露伴 『悦楽(現代訳)』 青空文庫
持って生まれた濃情が半蔵のからだからこんな気の鬱する病を引き出したのか、あるいは病ゆえにこんなに人恋しく思うのであるか、いずれともお民には言えないとのことであったが、彼女は夫が遠く離れている子にもしきりにあいたがって、東京の和助のうわさの出ない日もないことなぞを娘に語り聞かせる。
— 第二部下 『夜明け前』 青空文庫
純真な気持で福祉を考えて開墾した祖父が完成後に心に鬱するところ多かったのも、一つにはこういうことが原因だったのでしょう。
— 一九四五年(昭和二十年) 『獄中への手紙』 青空文庫
あまり気が鬱するので、庭の花園山に登つて、手飼の猿、手白(てじろ)を相手に慰んでゐる姿を隙見した継母は、自分の子とも知らず、恋に陥る。
— 折口信夫 『愛護若』 青空文庫
日來快濶にして物に鬱する事などの夢にもなかりし時頼の氣風|何時しか變りて、憂はしげに思ひ煩ふ朝夕の樣|唯ならず、紅色を帶びしつや/\しき頬の色少しく蒼ざめて、常にも似で物言ふ事も稀になり、太息の數のみぞ唯ゝ増さりける。
— 高山樗牛 『瀧口入道』 青空文庫
つまり青眠洞だの中介といふ豪傑と一緒に飲むと先を越されてしまつて、飲めば飲むほど鬱するばかり、どうしても酔ふことができない。
— 坂口安吾 『朴水の婚礼』 青空文庫
そう気を病むな、鬱するな。
— 第十一分冊 『新書太閤記』 青空文庫