雄鹿
おじか
名詞
標準
文例 · 用例
拾つて来たのは雄鹿の角の折、山深ければ千歳の松の根に生ふると聞く、伏苓と云ふものめいたが、何、別に……尋常の樹の枝、女の腕ぐらゐの細さで、一尺有余也。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
男は、手頃に傷けてまだ息を残さしてある雄鹿を小脇に抱えていた。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
女は足元に投出された血だらけの矢の雄鹿を見ても愕かず、少しわきへ寄っただけであった。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
男の何かしら廻り諄い所作の道具に使われて、命を失いかけている小雄鹿を、その男と共に、無駄なことの犠牲になった悲運のものと思うだけだった。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
その姿は、いま眼のまえに横っている小雄鹿の死と同じ静謐さをもって、聳えて揺り据っている。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
金になる男のぬくとみにゃ、誰でも帯を解く、と奥州、雄鹿島の海女も、日本橋の芸者も同じ女だと、北海道|釧路国の学問だでな。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
朽木の棚にすゑられて、顏くすぼるるあら彫の豕、狗兒、野の狐、さては雄鹿のむらがりに、こはめざましき誇りかな、日かげにぬるる獅子の影。
— 薄田泣菫 『泣菫詩抄』 青空文庫
松島には、この樹ありて、この巖なく、雄鹿半島には、この巖ありて、この樹なし。
— 大町桂月 『十和田湖』 青空文庫