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昏酔

こんすい
名詞
1
標準
文例 · 用例
というのは博士は一月ばかり前に、ふとした不注意から熱帯産の毒蜘蛛に咬まれて、奇怪きわまるうわ言をしゃべりつづけながら瀕死の状態で病院にかつぎこまれ、一週間ばかり昏酔状態をつづけたのち、とうとう斃れてしまったのだった。
甲賀三郎 蜘蛛 青空文庫
こうしておいてある夜AはBを一階の部屋に連れこんで、とつじょ彼の自由を拘束して、この部屋には自動爆発装置が敷設してあるといつわり、いまより三十分後正九時にはこの部屋は爆発して、お前は粉微塵になるのだと脅かしたのちに、彼に睡眠剤をあたえて昏酔させた。
甲賀三郎 蜘蛛 青空文庫
そうして昏酔しているBをかかえて、かねて用意してあった最上階の一室に連れこんで、時計を九時五分前に止めて部屋のなかにBをおきドアをとざして逃げさった。
甲賀三郎 蜘蛛 青空文庫
しかし、静かに考えてみると、最上階と一階のおなじ位置の部屋をかりうけて、これをまったく同一に飾りつけてほかから怪しまれないようにするにはそうとうの困難があり、かつ昏酔している人間を一人かかえて、一階から最上階までだれにもとがめられないで、はこぶことはよういなことではない。
甲賀三郎 蜘蛛 青空文庫
今は何等の方法もて彼に臨まむも、彼が昏酔したる脳裏には、何等の反響をも起こさぬなるべし。
清水紫琴 葛のうら葉 青空文庫
握り飯の代りに心臓をつぶすとは哀れな最後だなどと危篤昏酔のうちに、渋谷へついた。
坂口安吾 散る日本 青空文庫
彼の魂は昏酔し、恍惚として肉体の上を遊楽した。
坂口安吾 わが血を追ふ人々 青空文庫
日本の家庭といふものは、魂を昏酔させる不健康な寝床で、純潔と不変といふ意外千万な大看板をかゝげて、男と女が下落し得る最低位まで下落してそれが他人でない証拠なのだと思つてゐる。
坂口安吾 デカダン文学論 青空文庫