閙
閙
名詞
標準
文例 · 用例
自動車は雜閙し始めた廣い往來を勢ひよく駈て行つた。
— 有島武郎 『小さき影』 青空文庫
おれはいつでも、人気のない寂しい海岸を歩きながら、遠い都の雑閙を思ふのがすきだ。
— 萩原朔太郎 『月に吠える』 青空文庫
昼間は雑閙のなかに埋れていたこの人びとはこの時刻になって存在を現わして来るのだと思えた。
— 梶井基次郎 『ある心の風景』 青空文庫
我先に其端艇に乘移らんと、人波うつて※閙く樣は、黒雲の風に吹かれて卷返すやうである。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
茉莉のアパートを出た京吉は、わびしい顔で河原町の雑閙の中を歩いていた。
— 織田作之助 『土曜夫人』 青空文庫
河原町通りの雑閙の中で、ふと旅への郷愁を語るくらい、京吉は感傷的になっていたのだ。
— 織田作之助 『土曜夫人』 青空文庫
一つには、大阪で一番雑閙のはげしい駅前におれば、ひょっとして妻子にめぐり会えるかも知れないという淡い望みもあった。
— 織田作之助 『昨日・今日・明日』 青空文庫
雑閙に押されて標札屋の前まで来た時、私はあっと思った。
— 織田作之助 『神経』 青空文庫