歌句
かく
名詞
標準
文例 · 用例
(明治三十一年三月二十日)二蚊遣火の煙にとざす草の庵を人しも訪はば水鶏聞かせむ この歌句法ととのはず、四、五の句に至りて調子抜けが致し候。
— 正岡子規 『人々に答ふ』 青空文庫
もしそれ南枝の梢に短冊の昔を愛する振舞いに至っては、必ずしも歌句の拙きを嗤うを要せぬ、倶利迦羅紋紋の兄哥にもこの風流あるは寧ろ頼もしからずとせんや。
— 柴田流星 『残されたる江戸』 青空文庫
そこで声高にマドロスが手風琴をあやなしながら唄い出したが、歌句は一向何だかわからない。
— 恐山の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
すなわちかく解釈すると為めにその歌が初めて生きて来て、その歌句がよく実況と合致し何等その間に疑いを挟む余地はないこととなる。
— 牧野富太郎 『植物記』 青空文庫
然るに、「オホワダ」をば大海即ち近江の湖水全体と解し、湖の水が勢多から宇治に流れているのを、それが停滞して流れなくなるとも、というのが、即ち「ヨドムトモ」であると仮定的に解釈する説(燈)があるが、それは通俗|理窟で、人麿の歌にはそういう通俗理窟で解けない歌句が間々あることを知らねばならぬ。
— 斎藤茂吉 『万葉秀歌』 青空文庫
けれどもそれだけ類型的、図案的で、特に人麿の歌句の模倣なども目立つのである。
— 斎藤茂吉 『万葉秀歌』 青空文庫
○雪の上に照れる月夜に梅の花折りて贈らむ愛しき児もがも 〔巻十八・四一三四〕 大伴家持 天平勝宝元年十二月、大伴家持の作ったもので、越中の雪国にいるから、「雪の上に照れる月夜に」の句が出来るので、こういう歌句の人麿の歌にも無いのは、人麿はこういう実際を余り見なかったせいもあるだろう。
— 斎藤茂吉 『万葉秀歌』 青空文庫
いつたいに義士たちの辭世や壯擧前後の歌句には秀吟が多い。
— 吉川英治 『折々の記』 青空文庫