寺々
てらでら
名詞
標準
文例 · 用例
まず、美濃の国中で評判の寺々を歴訪して師家と名の付く老僧たちに会い、疑いのあることは問い、修業の方針を教えられたりしたが、どれも腑に落ちるものはなかった。
— 岡本かの子 『宝永噴火』 青空文庫
そういう状態で彼は友に招かれたり、また伴れに誘われたりして備後から播州の寺々を漁り歩いた。
— 岡本かの子 『宝永噴火』 青空文庫
近辺の寺々いずこも参詣人多く花屋の店頭黄なる赤き菊|蝦夷菊堆し。
— 寺田寅彦 『半日ある記』 青空文庫
寺々の鐘が鳴り渡ると爆竹がとどろいてプロージット、プロージットノイヤールという声々が空からも地からも沸き上がる。
— 寺田寅彦 『銀座アルプス』 青空文庫
世間は、春風に大きく暖く吹かるる中を、一人陰になって霜げながら、貧しい場末の町端から、山裾の浅い谿に、小流の畝々と、次第|高に、何ヶ寺も皆日蓮宗の寺が続いて、天満宮、清正公、弁財天、鬼子母神、七面大明神、妙見宮、寺々に祭った神仏を、日課のごとく巡礼した。
— 泉鏡花 『瓜の涙』 青空文庫
……樹島は赤門寺を出てから、仁王尊の大草鞋を船にして、寺々の巷を漕ぐように、秋日和の巡礼街道。
— 泉鏡花 『夫人利生記』 青空文庫
一山に寺々を構えた、その一谷を町口へ出はずれの窮路、陋巷といった細小路で、むれるような湿気のかびの一杯に臭う中に、芬と白檀の薫が立った。
— 泉鏡花 『夫人利生記』 青空文庫
此の水やがて里の廓の白粉に淀むと雖も、此のあたり、寺々の松の音にせゝらぎて、殘菊の雫潔し。
— 泉鏡太郎 『婦人十一題』 青空文庫