繙
繙
名詞
標準
文例 · 用例
けれ共、氏に就いて語らうとする者は、この詩集を繙いて、如何に如實なる氏を知る事が出來るであらう。
— 萩原朔太郎 『純情小曲集』 青空文庫
どの地理書を繙いても、奥州の地たるや本州の東北端に僻在し、衣、食、住、いづれも粗樸、とある。
— 太宰治 『津軽』 青空文庫
力学物理学の教科書を繙いてみると極めて簡単な言葉で重力の方則や落体運動の方則が述べてある。
— 寺田寅彦 『方則について』 青空文庫
一巻の絵巻物が出て来たのを繙いて見て行く。
— 寺田寅彦 『厄年と etc.』 青空文庫
されば、気高いと申しても、天人神女の俤ではのうて、姫路のお天守に緋の袴で燈台の下に何やら書を繙く、それ露が滴るように婀娜なと言うて、水道の水で洗い髪ではござらぬ。
— 泉鏡花 『春昼』 青空文庫
向者より待合所の縁に倚りて、一|篇の書を繙ける二十四、五の壮佼あり。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
だから、たとえば鴎外なら鴎外を読んだあとで、あわてて誰かの鴎外研究を繙いてみたりするようなことは避けている。
— 織田作之助 『僕の読書法』 青空文庫
此のやうに、季題そのものを描寫した句が少なくて他の景物を配合したものゝ多いといふことは必しも天文の季題に限らないことであつて、例へば任意の句集を繙いて櫻とか雁とかの題下に並んだ澤山の句を點檢してもすぐに分かることである。
— 寺田寅彦 『天文と俳句』 青空文庫