抜萃
ばっすい
名詞
標準
文例 · 用例
その時の映画の種板はたいてい一枚一枚に長方形の桐製のわくがついていて、映画の種類は東京名所や日本三景などの彩色写真、それから歴史や物語からの抜萃の類であった。
— 寺田寅彦 『映画時代』 青空文庫
その一部を抜萃すれば、(松枝茂夫氏の訳に拠る)「(前略)第二学年の終りになって、僕は藤野先生を訪ねて、もう医学の勉強はやめようと思うこと、そしてこの仙台を去るつもりでいることを、先生に告げた。
— 太宰治 『惜別』 青空文庫
でたらめばかり書いているんじゃないかと思われてもいけないから、吾妻鏡の本文を少し抜萃しては作品の要所々々に挿入して置いた。
— 太宰治 『鉄面皮』 青空文庫
まだ、この書を読まない人の為にちょっと解説すると、この書は仏典や禅書から、いわゆる悟りの為になることや修業者の策励になることが、抜萃してある仏教の金言警句集とでもいったような性質の書物である。
— 岡本かの子 『宝永噴火』 青空文庫
で、自宅練修としては銘々自分の好むところの文章や詩を書写したり抜萃したり暗誦したりしたもので、遲塚麗水君とわたくしと互に相争って荘子の全文を写した事などは記憶して居ます。
— 幸田露伴 『学生時代』 青空文庫
当時妾の感情を洩らせる一片の文あり、素より狂者の言に近けれども、当時妾が国権主義に心酔し、忠君愛国ちょう事に熱中したりしその有様を知るに足るものあれば、叙事の順序として、左に抜萃することを許し給え。
— 福田英子 『妾の半生涯』 青空文庫
次に日記にのつてゐるだけの会合を抜萃して見よう。
— 木下杢太郎 『パンの会の回想』 青空文庫
勿論当時のサラセン嫌悪の風潮で、ゲルベルトをまるで妖術師扱いにしているのだが、とにかくその一節を抜萃してみよう。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫