斑々
斑々
名詞
標準
文例 · 用例
其日も暮れ、夜に入りて四辺の静になるにつれ、お村が悲喚の声|冴えて眠り難きに、旗野の主人も堪兼ね、「あら煩悩し、いで息の根を止めむず」と藪の中に走入り、半死半生の婦人を引出だせば、総身赤く腫れたるに、紫斑々の痕を印し、眼も中てられぬ惨状なり。
— 泉鏡花 『妖怪年代記』 青空文庫
万丈の塵の中に人の家の屋根より高き処々、中空に斑々として目覚しき牡丹の花の翻りて見え候。
— 泉鏡花 『凱旋祭』 青空文庫
髯のある親仁が、紺の筒袖を、斑々の胡粉だらけ。
— 泉鏡花 『縷紅新草』 青空文庫
ある街道筋の裏に斑々する孟棕藪の小径を潜ると、かの女の服に翠色が滴り染むかと思われるほど涼しい陰が、都会近くにあることをかの女に知らした。
— 岡本かの子 『母子叙情』 青空文庫
床板には斑々と泥の足跡がついております。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
おまけに黒い斑々がある。
— 宮沢賢治 『種山ヶ原』 青空文庫
二ツ三ツ四ツ五ツばかり羽は斑々として落ちて、戦の矢を白い花の上に残した。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
娘もこの攻撃を興あることにや思ひけん、遂には翁の所爲に傚ひて、持てる籠の空しくならんとするをも厭はで唯だ打ちに打つ程に、我衣は斑々として雪を被れる如くぞなりぬる。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫