玉鉾
たまぼこ
名詞
標準
文例 · 用例
まるで翡翠か青玉で彫刻した連珠形の玉鉾とでも云ったような実に美しい天工の妙に驚嘆した。
— 寺田寅彦 『高原』 青空文庫
「夕露にひもとく花は玉鉾のたよりに見えし縁こそありけれ あなたの心あてにそれかと思うと言った時の人の顔を近くに見て幻滅が起こりませんか」 と言う源氏の君を後目に女は見上げて、光ありと見し夕顔のうは露は黄昏時のそら目なりけり と言った。
— 夕顔 『源氏物語』 青空文庫
これより急調に眼を過ぐるものを言ひ、「三ツ四ツおちし村雨は、つゝみかねたる誰が涙かな」にて結び、更に「玉鉾の道は小暗し、たどりゆく繩手はほそし、松風の筧の音も、身にしみていとうらかなし、」と巧麗婉艶の筆を以て、行路の詩人の沈痛なる同情を醒起す。
— 北村透谷 『「桂川」(吊歌)を評して情死に及ぶ』 青空文庫
それに、西鶴には『一目玉鉾』などといふ著書がある。
— 田山録弥 『西鶴小論』 青空文庫
本居宣長の『さしいづるこの日の本の光よりこま唐土も春を知るらむ』、玉鉾百首中の歌などが落ちて結局、『しきしまのやまと心を人問はば朝日ににほふ山櫻花』が選定せられたのは、單にその場の群集心理に支配せられたといはうより、この歌の純粹性がその結論に導いたともいふことが出來るやうであつた。
— 齋藤茂吉 『愛國百人一首に關聯して』 青空文庫
また、愛國に就いては、ある年の大學國文科の卒業生の會の折、この夏輕井澤にいつて、新玉鉾百首といふをつくり、國體に關する自分の思想をのべて見たいと思ふといはれて、すでに出來た數首を語られたこともあつた。
— 佐佐木信綱 『芳賀博士』 青空文庫