がたつき
がたつき
名詞
標準
文例 · 用例
とにかくなかなか骨の折れた手のかかったメカニズムであるが所々に多少のがたつきがあったり大きな穴が見えたりするにしても、おしまいまで無事に連続して運転するのはなかなか巧妙なものである。
— 寺田寅彦 『初冬の日記から』 青空文庫
けれど間もなく、丸太を敷いた鋪道のために物凄く馬車ががたつきだしたので、彼もようやくそれと気がついたが、この丸太敷きの道に較べたら、あの市なかのごろた石を敷いた道などは物の数ではなかった。
— または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊 『死せる魂』 青空文庫
Sももって生れたいいところは苦労しなかったからもっていたのだが、生活がフヤフヤでがたつき出すと、もう自分をまとめて行く力もない様です。
— 一九四三年(昭和十八年) 『獄中への手紙』 青空文庫
ブルジョア文学はブルジョア階級のがたつきと一緒に、美のうちにあるべき正しいいきどおりという理論を失っている。
— 宮本百合子 『文芸時評』 青空文庫
とうとう、一つの飲用泉の近くのある街角のところへ走りかかった時に、馬車の車輪の一つが気持悪くちょっとがたつき、数多の声があっと大きな叫び声をあげ、馬どもは後脚で立ったり後脚で跳び上ったりした。
— 上巻 『二都物語』 青空文庫
お糸の里といふは、六角辺のさる糸物商、家の暖簾の古びにも名ある旧家とは知らるれど、間口の広きには似ず、店の戸棚はがたつきて、内輪はそれ程にもなき様子なり。
— 清水紫琴 『心の鬼』 青空文庫
ちまたには、名ある亡家の息女や後家がたつきにこまってただよいあふれている状だったし、以前は、やんごとなき宮すじの姫が六条の妓家に養われていたり、また、元は院ノ少将なにがしの想い妾が、今は夜ごと武者の酌に出て、無残に掻き※られているなどの例も、世間ばなしにはもう珍しくもない近頃のことでもあった。
— 黒白帖 『私本太平記』 青空文庫