阿亀
阿亀
名詞
標準
文例 · 用例
阿亀とか天ぷらとかいって注文すると、おそばでございますか、饂飩台でございますかと聞き返される場合が多い。
— 岡本綺堂 『綺堂むかし語り』 青空文庫
「浜子さんが、ムッと黙っているので、おばさんが、その代りにニコニコ、ニコニコして、阿亀さんがわらっているように、例も笑い顔をしてるでしょう。
— 長谷川時雨 『朱絃舎浜子』 青空文庫
その静かな、時にはがらんとした感じの広間の一方、奥へ通ずる障子の上の欄間に、見事な阿亀の面が、白々と浮出していた。
— 豊島与志雄 『阿亀』 青空文庫
が、或る晩、その阿亀の面が、本当ににこにこっと笑い出した、と云って佐竹謙次郎が、次のような話をした。
— 豊島与志雄 『阿亀』 青空文庫
阿亀の面が、没表情な永遠な笑顔で、天井の一隅から見下している。
— 豊島与志雄 『阿亀』 青空文庫
コーンコンという象牙球の音、眠そうなそれでも澄んだ数取りの声、明るい静かな広間、その中に凡てがいい気持に落着いていって、ハバナの煙の上から、阿亀の面がにこやかに見下していた。
— 豊島与志雄 『阿亀』 青空文庫
その時は実際、阿亀の面が本当に笑っていた――と佐竹謙次郎はいうのである。
— 豊島与志雄 『阿亀』 青空文庫
ところが、家康ときた日には、阿茶局が遠州金谷の鍛冶屋の女房で前夫に二人の子供があり、阿亀の方が石清水八幡宮の修験者の娘、西郷局は戸塚某の女房で一男一女の子持ちの女、その他神尾某の子持ちの後家だの、甲州武士三井某の女房(之も子持ち)だの、阿松の方がたゞ一人武田信玄の一族で、之だけは素性がよかつた。
— 坂口安吾 『二流の人』 青空文庫