水筆
すいひつ
名詞
標準
文例 · 用例
枕元には琺瑯質の鍋だの西洋皿だのが狼藉としてゐて、その間に墨の桐箱と墨の塗沫された画仙紙の上に水筆が転がつてゐた。
— 岡本かの子 『花は勁し』 青空文庫
筆は二本ながら水筆で、その一本はまだ新らしく、白い穂の先に墨のあとが薄黒くにじんでいるだけであった。
— 筆屋の娘 『半七捕物帳』 青空文庫
この水筆だ」 ふところから紙につつんだ水筆を出してみせると、小僧はすぐにうなずいた。
— 筆屋の娘 『半七捕物帳』 青空文庫
それへ二銭五厘の水筆を立てかけて、白い穂が花と葉の間から、隠見するのを机へ載せて楽んだ。
— 夏目漱石 『草枕』 青空文庫
「宅の人の二千五百年史なんか、二銭五厘の水筆で書き上げたんぢやないか、真実に贅沢な学校だよ。
— 大正六(一九一七)年 『茶話』 青空文庫
千代松が周章てた状もなくやつて來て、お時の渡す水筆で末期の水を塗つてから、道臣の居室へ入つて、「遲かれ早かれ、かうならはるには極つてるんやさかい、どうやつてもいかんのなら、早い方がなア。
— 上司小劍 『天滿宮』 青空文庫