表れ
あらわれ
名詞
標準
文例 · 用例
これは校長が若い時分から、自分の生来根太い狡猾な性質に困り果てながら、聖賢の書を漁つた時に、始終心で云つてたことが、今生徒を前にした今、形を取つて表れて来たのである。
— 中原中也 『校長』 青空文庫
第一章に表れたるヨブ、殊に三十一章に表れたる彼を見れば彼がいかなる程度において完全なりしかを知り得る。
— 内村鑑三 『ヨブ記講演』 青空文庫
彼の顏には今までの力の無い、寂しげな微笑は消えて、恰も舊知に接したやうな晴れやかな眼色と、故國の文字を讀み上げた異國の青年に對する好奇の光とが、その顏中に表れた。
— 南部修太郎 『霧の夜に』 青空文庫
奎吉は不幸にもその時の莊之助の顏に浮んだ微笑の影に、奎吉をなぐさめる樣な柔しい感情の表れがあつたのを見逃せなかつた。
— 梶井基次郎 『奎吉』 青空文庫
智子は、そういう性格の表れに、三木雄の執拗な方面をも知り得るのであった。
— 岡本かの子 『明暗』 青空文庫
そして、ちらりと裏が覗かれるとき、思わず外部の特色の根に複雑な用意仕掛けがしてあるのを認め、その用意のために外に表れている特色が根強くしっかりとしていることが判るのであります。
— 岡本かの子 『仏教人生読本』 青空文庫
これはおのおの身分資力に応じて差別があるところに、祝いの真心が表れるので、差別あるこそ主人夫妻には平等な祝意が家族一同より感じられるのであります。
— 岡本かの子 『仏教人生読本』 青空文庫
此句に音律があるから、讀んで――見ただけではない、如何にも腕まくりした男が、盆踊か何かの踊の一團を崩して、悠々として通るのが表れてゐる。
— 泉鏡花 『文章の音律』 青空文庫