貝細工
かいざいく
名詞
標準
shellwork
文例 · 用例
枯れてもしがみ付いている貝細工草や百日草のような花に却って涙がこぼれる。
— 岡本かの子 『現代若き女性気質集』 青空文庫
シナの庭園も本来は自然にかたどったものではあろうが、むやみに奇岩怪石を積み並べた貝細工の化け物のようなシナふうの庭は、多くの純日本趣味の日本人の目には自然に対する変態心理者の暴行としか見えないであろう。
— 寺田寅彦 『日本人の自然観』 青空文庫
そしてガドルフは自分の熱って痛む頭の奥の、青黝い斜面の上に、すこしも動かずかがやいて立つ、もう一むれの貝細工の百合を、もっとはっきり見ておりました。
— 宮沢賢治 『ガドルフの百合』 青空文庫
その家の前の栗の木の下に一人のはだしの子供がまっ白な貝細工のような百合の十の花のついた茎をもってこっちを見ていました。
— 宮沢賢治 『四又の百合』 青空文庫
氷店、休茶屋、赤福売る店、一膳めし、就中、鵯の鳴くように、けたたましく往来を呼ぶ、貝細工、寄木細工の小女どもも、昼から夜へ日脚の淀みに商売の逢魔ヶ|時、一時鳴を鎮めると、出女の髪が黒く、白粉が白く成る。
— 泉鏡花 『浮舟』 青空文庫
籐のステッキ、更紗、貝がら、貝細工、菊形の珊瑚礁、鸚鵡貝など。
— 寺田寅彦 『旅日記から(明治四十二年)』 青空文庫
貝細工のような福寿草よりも、せせこましい枝ぶりをした鉢の梅よりも、私は、藁で束ねた藪柑子の輝く色彩をまたなく美しいものと思った。
— 寺田寅彦 『柿の種』 青空文庫
奥山にはかの驢馬のほかに、菊川国丸の蹴鞠、淀川富五郎の貝細工などが評判であるので、それらも話の種に見物する予定であったが、巾着切りの一件から何だか心が落ち着かなくなったので、母子はこれから直ぐに帰ろうかなどと話し合っているところへ、小僧の宇吉があわただしく引っ返して来た。
— 大阪屋花鳥 『半七捕物帳』 青空文庫