余儀ない
よぎない
形容詞
標準
unavoidable
文例 · 用例
今度は私の一望の下に、余儀ないところで中断されていた彼らの求愛が encore されるのである。
— 梶井基次郎 『交尾』 青空文庫
ところでその中でも芸術的価値の薄いものほどわかり易くて面白いので、又、そんなものほど余計に大衆的のファンを持っているのは余儀ない次第である。
— 夢野久作 『能ぎらい/能好き/能という名前』 青空文庫
親しかった人々は追悼会や遺作展覧会を開いてくれ、またいろいろの余儀ない故障のために親戚のものだれ一人片付けに行く事のできなかった遺物の処理までも遺憾なく果たしてくれた。
— 寺田寅彦 『亮の追憶』 青空文庫
まずこの三つの境地はいずれも肉体的には不自由な拘束された余儀ない境地である事に気がつく。
— 寺田寅彦 『路傍の草』 青空文庫
愛惜の気持ちが復一の胸に沁み渡ると、散りかかって来る花びらをせき留めるような余儀ない焦立ちと労りで真佐子をかたく抱きしめたい心がむらむらと湧き上るのだったが……。
— 岡本かの子 『金魚撩乱』 青空文庫
それならば余儀ない」 平馬は鳥渡、妙に考えたがそのまま、女に跟いて行った。
— 夢野久作 『斬られたさに』 青空文庫
東京市外、東中野――余儀ない遊びを続けてゐる若い友達夫婦が一ト間だけ借りてゐる二階に客となり続けてゐる。
— 牧野信一 『東中野にて』 青空文庫
」(――と話した時、小山直槙は眉を顰めたのであった――)「……余儀ない次第と申そうか、了見違いと申そうか、やがて、真夜中にこの婆さんを見なければならない羽目に立到りました時は、この面相にして、白を着て、黒い被布です、朱い袴を穿いていたのだから、その不気味さをお察し下さい。
— 泉鏡花 『雪柳』 青空文庫