寝苦
ねく
名詞
標準
文例 · 用例
寝苦しい夏の夜も、森と川の面から撫でるように吹いて来る、軽い風で涼しくなった。
— 葉山嘉樹 『乳色の靄』 青空文庫
寝苦しい、麹室のようなムンムンする、プロレタリアの群居街でも、すっかりシーンと眠っていた。
— 葉山嘉樹 『生爪を剥ぐ』 青空文庫
かますの乾物のように、痩せて固まった彼の母は、寝苦しいものと見えて、時々溜息をついていた。
— 葉山嘉樹 『生爪を剥ぐ』 青空文庫
幾夜も寝苦しい思いをした。
— 太宰治 『川端康成へ』 青空文庫
帰って湯に入って、寝たが、綿のように疲れていながら、何か、それでも寝苦くって時々早鐘を撞くような音が聞えて、吃驚して目が覚める、と寝汗でぐっちょり、それも半分は夢心地さ。
— 泉鏡花 『朱日記』 青空文庫
」 寝苦しいか、白やかな胸を出して、鳩尾へ踏落しているのを、痩せた胸に障らないように、密っと引掛けたが何にも知らず、まず可かった。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
そう思うと寝苦しい、何にも見まい、と目を塞ぐ、と塞ぐ後から、睫がぱちぱちと音がしそうに開いてしまうのは、心が冴えて寝られぬのである。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
勇士は霜の気勢を知るとさ――たださえ目敏い老人が、この風だから寝苦しがって、フト起きてでもいるとならない、祝儀は置いた。
— 泉鏡花 『歌行燈』 青空文庫