敝履
敝履
名詞
標準
文例 · 用例
女性には、意志薄弱のダメな男をほとんど直観に依って識別し、これにつけ込み、さんざんその男をいためつけ、つまらなくなって来ると敝履の如く捨ててかえりみないという傾向がございますようで、私などはつまりその絶好の獲物であったわけなのでございましょう。
— 太宰治 『男女同権』 青空文庫
秋収め、野田のせはしさ、敝履のはためきや、――いま、せつなさのゆるに、葉こそ喘げ。
— 薄田淳介 『白羊宮』 青空文庫
とかく、吾人は、いくらか名前を知られ、人の尊敬を贏ち得るようになると、忽ちもう偉らくなったような気がして、心が弛み、折角青年時代に守り本尊としていた理想を、敝履の如く棄て去るのが多いものであるが、独りソクラテスに限っては、こういう不始末が毫末もなかった。
— 新渡戸稲造 『ソクラテス』 青空文庫
自分に対して厳烈であった彼は、他を批判する場合に寛容な態度をとることができず、ひとたび敬愛と信頼を捧げた人物に対しても、感情の角度の変るにつれて、認識を一変するだけではなく、これを敝履のごとく捨てて顧みないというようなことも幾度びとなく繰返された。
— ――主観的な覚え書き 『叛骨・中野正剛』 青空文庫
君臣の契りすら敝履のごとく捨て去る人間もいる乱世に、きのうまで敵であった毛利の一誓紙が――どれほど文字どおりに約束を履行するか?
— 第五分冊 『新書太閤記』 青空文庫