そこはかとない
そこはかとない
形容詞
標準
faint
文例 · 用例
※部屋の奧、寢臺のあたりには、そこはかとない薄明しか漂はせてゐなかつた星形の窓は、いまや貪婪な窓と交代して、飽くことなく日光を求めてゐる。
— ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 『窓』 青空文庫
夫人策動一 十月になってから、いくらか日が詰まっているとはいえ、七時といえば、まだ夕暮の、そこはかとないあわただしさが漂っているのに、広い邸の中はしんとして、寂しいほど静かであった。
— 菊池寛 『貞操問答』 青空文庫
ところがわたしは、かねがね憧れの夢のなかでは寝ても醒めても、そこはかとない放浪のおもひが逞しいにもかゝはらず、身をもつてそれからそれへ酔歩を移してゆくといふことには何うやら未だ雅量にも堪へられず、所詮は書斎裡のみの夢想家に過ぎないといふ感が今更ながら深いのである。
— 牧野信一 『書斎を棄てゝ』 青空文庫
彼は、そこはかとない感傷に耽らずには居られなかつたが、幾度び決心しても、もう一度あの二階へ引返すには、あまりに膝がしらが臆病に過ぎて、進めなかつた。
— 牧野信一 『茜蜻蛉』 青空文庫
そんな時「青蘭」の女達は、席をへだてて客の相手をしていながらも、そっと顔を見合せては、そこはかとない溜息をつく。
— 大阪圭吉 『銀座幽霊』 青空文庫
滝は、「ナンシー・リー」の単純な朗らかさに加へて、独特なそこはかとない一脈の甘苦い哀音が漂うてゐる韻律に酔はされて、今もなほそれが口笛を吹く時の習慣になつて遺されてゐた。
— 牧野信一 『雪景色』 青空文庫
とりとめもない物思ひ、そこはかとない無常感、――私は弱虫、そしてなまけものだわい、強くなれ/\。
— 種田山頭火 『其中日記』 青空文庫
なかには絵に描かれているような髑髏がそこはかとない秋草を褥にすわっていたという土産話も、今では嘘のようである。
— 上村松園 『中支遊記』 青空文庫
作例 · 標準
遠くで聞こえる音楽は、そこはかとない悲しみを帯びていた。
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彼女の絵には、そこはかとない優しさが表現されている。
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夕暮れの空には、そこはかとない寂しさが漂っていた。
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