歌合わせ
うたあわせ
名詞
標準
文例 · 用例
つんだ花を一ぱい車の中にまいて、歌合わせをして遊んだ昔の女たちを思えば。
— 倉田百三 『俊寛』 青空文庫
新手村の大晦日の夜と、それから城中での歌合せの夜の二度まで、自分を振り切るように逐電してしまった佐助が一途に恋しくて、思い余ったその挙句に、佐助たずねてのあてなき旅の明け暮れにも、はしたなく佐助ばりの口調が出るとは、思えば佐助も幸福な男である。
— 織田作之助 『猿飛佐助』 青空文庫
かつ歌合せの画を左右に分けて画に写したのであるから、左とあるのが凡て南岳の画で、右とあるのが凡て文鳳の画である。
— 正岡子規 『病牀六尺』 青空文庫
むかしむかし内裏の御殿で御歌合せの御会があったとき大伴黒主の相手に小野小町が選ばれました。
— 上村松園 『謡曲と画題』 青空文庫
黒主は相手の小町は名にし負う歌達者の女性ゆえ明日の歌合せに負けてはならじと、前夜こっそりと小町の邸へ忍び入って、小町が明日の歌を独吟するのを盗みきいてしまいました。
— 上村松園 『謡曲と画題』 青空文庫
御題は「水辺の草」というのですが、小町の作った歌は、蒔かなくに何を種とて浮草の 波のうね/\生ひ茂るらむ というのですが、腹の黒主はそれをこっそり写しとって家に帰り、その歌を万葉集の草紙の中へ読人不知として書き加え、何食わぬ顔をして翌日清涼殿の御歌合せの御会へのぞみました。
— 上村松園 『謡曲と画題』 青空文庫
職人歌合せや絵巻の類の盛んに出てゐた頃は、保護者階級と供給者の地位とは、はつきり分れてゐた。
— 折口信夫 『若水の話』 青空文庫
この形式の一分化として、平安朝から鎌倉時代へかけて、屡行はれた歌合せの場合にも、其習慣から、天皇・上皇の御歌は、女房名を用ゐて、示されてゐる。
— 折口信夫 『古代人の思考の基礎』 青空文庫