暗鬼
あんき
名詞
標準
文例 · 用例
もしそうだとすると長い間封じ込められていた化け物どももこれから公然と大手をふって歩ける事になるのであるが、これもしかし私の疑心暗鬼的の解釈かもしれない。
— 寺田寅彦 『化け物の進化』 青空文庫
されば疾病の爲に、大なり小なり、長い間なり短い間なり、人類が或る影響を受くるのが、通常有勝の事である以上は、疾病と云ふ事に就て多少の考量思慮を費すのは、疑心より生じたる暗鬼に就て、思慮考量を費すが如きことでは無い。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
それからは例の妄想が勃然と首を擡げて抑えても抑え切れぬようになり、種々の取留も無い事が続々胸に浮んで、遂には総てこの頃の事は皆文三の疑心から出た暗鬼で、実際はさして心配する程の事でも無かったかとまで思い込んだ。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
疑心暗鬼を生ずって奴でね……第一、おかしいじゃないですか。
— 渡辺温 『象牙の牌』 青空文庫
それであるからして、熊城でさえも一時の亢奮が冷めるにつれて、いろいろと疑心暗鬼的な警戒を始めたのも無理ではなかった。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
そうなると久我さん、僕はこの疑心暗鬼を、いったいどうすればいいのでしょうか」 と法水は、算哲の心臓の位置が異なっていることから、死者の再生などと云うよりも、もっともっと科学的論拠の確かな、一つの懸念を濃厚にするのだった。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
そうして、今日クリヴォフ様が斃されたのですから、そうなると、当然算哲様の影が、あの疑心暗鬼の中から消えてしまうではございませんか。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
「あの疑心暗鬼に惑わされて、算哲の生存を信ずると云うのなら、君は勝手に降霊会でも開き給え。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫