赴
赴
名詞
標準
文例 · 用例
一昨年の秋加藤恒忠氏が、ベルギー公使に赴任する前にちょっと来られた時なども、オイオイと泣かれた加藤氏から貴様にも似合わんじゃないかと叱られたような訳で少し烈しく感情を激すると、モウたまらなくて泣く人であった。
— 伊藤左千夫 『竹乃里人』 青空文庫
「いき」の芸術形式がいわゆる「美的小{2}」と異なった方向に赴くものであることは、これによってもおのずから明白である。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
「散文が結果的に一つのイデーの下に凝集してゐるに対し、詩は一つのイデーから出発する」といふ河上氏の言を借用するとして、その真偽如何を問はず、詩が欲しくなる時、詩人は「一つのイデーから出発」してゐるもの即ち詩に赴くのであつて、他の物へではない。
— 中原中也 『詩と其の伝統』 青空文庫
――人はあせりにあせり、もつともつとと渉猟した揚句は、益々不消化となり益々苛立つて、その不消化解消にもと、益々渉猟するのだが、どうも不消化は解消しさうにもないといふので急に重曹を飲用するやうに、批評書へと赴くのではあるまいか。
— 中原中也 『よもやまの話』 青空文庫
まづ、酒場へでも赴くといふことになる。
— 中原中也 『心理的と個性的』 青空文庫
)、終列車にて父の任地なる旅順に赴いたのださうである。
— ――世の母びと達に捧ぐ―― 『一つの境涯』 青空文庫
今年は多分日向に赴く。
— 〔私が貧乏で〕 『夏』 青空文庫
とまれ今夏日向に赴く時は下車したい。
— 〔私が貧乏で〕 『夏』 青空文庫