欠壊
けっかい
名詞
標準
文例 · 用例
しかし、あとでわかったことだが、この豪雨は関東一帯に降ったもので、刀根川や荒川の上流から山水が押し出し、下総猿が股のほか多くの堤が欠壊したため、隅田川の下流は三日の深夜からひじょうな洪水にみまわれたのであった。
— 山本周五郎 『柳橋物語』 青空文庫
死躰のみつからなかったことは捜さなかったためもあるかもしれない、しかし子供を背負った自分でさえ無事なのである、夫婦二人のことだし、洪水といっても堤を欠壊して濁流が押しかかるというようなものではなかったので、万に一つも死んでいるなどとは考えられなかった。
— 山本周五郎 『柳橋物語』 青空文庫
けれど仕すましたりと思うまもなかった、それから数日のあいだ降りつづいた豪雨のために、せっかく築いた堤はたちまち欠壊し、濁流はかえってよせての陣へ襲いかかった。
— 笄堀 『日本婦道記』 青空文庫
そして、染退川が年々五十町も百町歩も渠等の沖積土質の田を缺壞して行く爲め、その度毎に村人の戸數が減じて行くことを説明された時は、自分の身がその沖積土の如く喰ひへらされて行く思ひがした。
— 斷橋 『泡鳴五部作』 青空文庫