糸毛
いとげ
名詞
標準
文例 · 用例
庇の御車に宮は召され、庇のない糸毛車が三つ、黄金作りの檳榔毛車が六つ、ただの檳榔毛車が二十、網代車が二つお供をした。
— 宿り木 『源氏物語』 青空文庫
青糸毛の牛車が三井寺の門前にしずかに停まると、それより先きに紫糸毛の牛車が繋がれていた。
— 岡本綺堂 『玉藻の前』 青空文庫
あとから来た青糸毛のうしろに、黒塗りの鷺足の榻が据えられて、うしろ簾がさやさやと巻きあげられると、内から玉藻の白い顔があらわれた。
— 岡本綺堂 『玉藻の前』 青空文庫
この青糸毛が眼に入らぬかというように、かれらは牛車を見かえって答えた。
— 岡本綺堂 『玉藻の前』 青空文庫
邪魔せられまい」 そっちの糸毛ばかりをひけらかして、こっちの紫糸毛が見えぬかというように、遠光も自分の牛車をあごで示しながら言った。
— 岡本綺堂 『玉藻の前』 青空文庫
紫糸毛の牛車のそばには、遠光のほかに逞しい侍が七、八人も控えていて、肉に食い入るほどに烏帽子の緒をかたく引き締めたあごをそらせて、こっちをきっと睨みつめていた。
— 岡本綺堂 『玉藻の前』 青空文庫
と思うと、白羽の矢が一つ飛んで来て、青糸毛の車蓋をかすめてすぎた。
— 岡本綺堂 『玉藻の前』 青空文庫
さりとて何を争うことも出来ないので、すごすごと別れてここを立ち去ると、青糸毛の牛車がこの屋敷の門前をしずかに軋らせて通った。
— 岡本綺堂 『玉藻の前』 青空文庫