瀝青
れきせい
名詞
標準
文例 · 用例
殊に日本北アルプスの飛騨山脈南部などでは、硫黄岳という活火山の降灰のために、雪のおもてが、瀝青を塗ったように黒くなることがある、「黒い雪」というものは、私は始めて、その硫黄岳の隣りの、穂高岳で見た、黒い雪ばかりじゃない、「赤い雪」も槍ヶ岳で私の実見したところである。
— 小島烏水 『高山の雪』 青空文庫
しかし大石の下になって凍っている雪などを見ると、内部からの光の反射を妨げるために、暗黒で透明で、瀝青の色に見えることがある。
— 小島烏水 『高山の雪』 青空文庫
伯林の郊外で未だ家のちつとも建たない原野に、道路だけが立派に磨いた土瀝青張りに出來上つて、美術的なランプ柱が行列して居るのを、少し馬鹿々々しいやうにも感じたのであつたが、やつぱりあゝしなければかうなるのは當り前だと思はれた。
— 寺田寅彦 『寫生紀行』 青空文庫
希臘商人が自転車で忙がしく商取引所方面に疾走し出すころ、マダム・レムブルグが瀝青の浮いた黒襦子の着物をつけて朝のミルクのなかで接吻をすると、海峡を船脚|迅く航行する汽艇、陳独秀が汕頭に行く姿を指さすのであった。
— 吉行エイスケ 『地図に出てくる男女』 青空文庫
米良が電流に乗ってリー・シー・ツワンの部屋に這入ると、彼は寝台のなかで外出着をつけて胸には瀝青を鍍金した勲章をぶらさげていた。
— 吉行エイスケ 『地図に出てくる男女』 青空文庫
希臘商人が自転車で忙がしく商取引所方面に疾走し出すころ、マダム・レムブルグが瀝青の浮いた黒襦子の着物をつけて朝のミルクのなかで接吻をすると、海峡を船脚迅く航行する汽艇、陳独秀が汕頭に行く姿を指さすのであった。
— 吉行エイスケ 『地図に出てくる男女』 青空文庫
強い潮の香に混って、瀝青や油の匂いが濃くそのあたりを立て罩めていた。
— 梶井基次郎 『冬の蠅』 青空文庫
すると、下にはまた瀝青様の層があって、それに鉛筆の尻環を近づけると、微かながらさだかに見える螢光が発せられた。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫